茶道の基本と楽しみ方: 作法、やり方、道具、流派を学ぼう

茶道は日本の総合芸術であると同時に、心を落ち着ける時間を提供する場でもあります。静かにしないといけないのか、正座をしないといけないのか、茶道をご存じない方は、茶道に不安に感じることと思います。今回は、茶道のやり方や基本作法、必要な道具、流派の違いについて詳しく解説します。初心者の方に向けて、作法というと大変なことと思われてしまいそうですので、やり方、という言い回しも併用しました。

茶道の基本とは?

 茶道のはじまり

茶道の始まりから見てみましょう。抹茶を飲むことは、800年ほど前から始まっており、時代ごとに色々な人々に親しまれています。

起源は、中国から伝わった飲茶の習慣に、禅宗の思想や精神が融合したことにあります。室町時代には、茶道は武家社会においても重んじられ、茶室は、武家同士の交流や親睦を深める場として重要な役割を果たしました。その後、江戸時代には、茶道は庶民の間にも広がり、様々な流派が誕生しました。現代では、茶道は伝統文化として継承され、茶道教室や茶会を通じて、多くの人々に親しまれています。

現代での茶道の意義

現代においても、茶道は単なる伝統文化にとどまらず、様々な意義を持つものとして捉えることができます。茶道を通して、礼儀作法や精神的な修養を学ぶことができ、また、茶道は、静寂の中で自分自身と向き合う時間を持つことを促し、心を落ち着かせ、ストレスを軽減する効果も期待できます。さらに、茶道は、茶器(抹茶を入れる容器)や茶碗、掛軸など、伝統的な道具を使うことで、日本の文化や美意識に触れる機会を提供します。茶道は、現代社会においても、心身のリフレッシュや精神的な成長に役立つ、貴重な文化と言えるでしょう。

基本的な茶道具とその使い方

茶碗、茶筅の役割

茶道には、お茶を点てるために様々な道具が使われます。その中でも、わかりやすいのが茶碗ではないでしょうか。普段の生活でも湯呑茶碗やごはん茶碗があるように、抹茶をのむのにつかう茶碗は、なんとなくそれ専用らしい趣があります。そしてお茶を点てるというように、抹茶と湯を攪拌する(点てる)道具の茶筅が茶道の基本的な道具として、欠かせないものです。茶碗の種類は様々で、材質や形、大きさ、絵柄など、様々なバリエーションがあります。茶筅は、抹茶を泡立てるための道具で、竹を丁寧に加工して作られています。茶筅を使って抹茶を点てる動作は茶道のなかで重要な要素の一つです。

抹茶を点てるのに必要なその他の道具

茶碗、茶筅以外にも、茶道の点前(てまえ)をするには、様々な道具が必要です。茶巾は、茶碗に抹茶を入れる前に、茶碗の中をきれいに拭くための道具です。棗(なつめ)や茶入れと呼ばれる抹茶を入れる容器も必要です。抹茶を掬うティースプーンの役をする茶杓(ちゃしゃく)もあります。これらを清めるための布である帛紗も必要な道具といえましょう。茶の湯というくらいですので、何より大事なお湯を沸かす釜や鉄瓶も必要な茶道です。これらの道具一つ一つに意味があり、丁寧に扱うことが大切です。

茶道の基本作法を学ぶ

お菓子のいただき方

茶道では、お茶を出される前に、お菓子をいただきます。お菓子を食べるときは、懐紙や菓子切り(菓子楊枝)などの道具を使います。 菓子器に出されたお菓子を懐紙の上に移してから、懐紙を左手の平に乗せて、右手を使っていただきます。 干菓子(乾燥している小さな菓子)は手で摘まんでいただきます。生菓子の場合は、菓子切りを使って一口大に切り分けていただきます。

お茶のいただき方

どの流派でも、お茶を出してくれた方に感謝し、茶碗を丁寧に両手で扱います。細かな点は流派によって異なりますが、一例として裏千家の場合を説明します。茶碗を左手にのせ、右手をそえて感謝の気持ちをこめて、茶碗に黙礼します。茶碗の正面からいただくことをさけるため、右手で手前に2度まわして静かに味わいながらいただきます。飲み終わった後で、人差し指と親指で飲み口を清め、その指先を懐紙で清め、茶碗を手前から向こうへ2度まわして元に戻します。

抹茶の点て方

抹茶の点て方は、茶道をやる中でもマスターしたい技術の一つです。抹茶の点て方は、茶筅の使い方、茶碗の持ち方、抹茶の量、水温など、様々な要素が関係してきます。茶碗に抹茶約2gにお湯70ml程度を注ぎ、茶筅でクリーミーに泡立てます。抹茶の点て方は、一見簡単そうに見えますが、実際には、練習すればすぐにできるようになります。

茶道の流派とその違い

「裏千家」と「表千家」は、何が違う?

茶道には、様々な流派が存在します。その中でも、最も有名な流派は、「裏千家」と「表千家」です。千利休の孫の千宗旦が利休から数えて三代目になります。それまでは裏も表もありませんでした。宗旦が家督を譲ったのが表千家になり、後に作ったのが裏千家になります。三男の宗左が表千家を、四男仙叟が裏千家を継ぎ、今に至っています。 (長男と次男は、先妻との子で、三男、四男が後妻との子です。 長男は宗旦に勘当されていますが、次男は茶道の武者小路千家を作っています)。裏千家と表千家は、どちらも千利休の教えを継承していますが、作法や道具、茶室の造りなどに、違いがあります。

流派ごとの作法の違い

裏千家と表千家では、作法にいくつかの違いがあります。例えば、お茶の点て方では、裏千家は、クリーミーに泡立てるのに対して、表千家は、泡は茶碗の中に三日月のようになるように点てるという違いがあります。また、茶碗の持ち方や、お菓子のいただき方など、ところどころ作法に少し違いがあります。裏千家と表千家だけでなく、武家茶というジャンルに大別される、三斎流、遠州流、不白流など、数十の流派があると言われており、それぞれに少しずつ作法が異なっていますが、それぞれ一つ一つ意味があって異なっています。

 初心者向け、茶道を楽しむポイント

自宅でできる茶道の楽しみ方

抹茶を点てて飲むことは、茶道教室に通わなくても、自宅でも楽しむことができます。自宅でお茶を楽しむためには、茶碗、茶筅、茶杓などの基本的な道具を揃える必要があります。茶道具は、茶道具専門店で購入することができます。茶道を知るためには、茶道の基本的な作法を学ぶことが大切です。茶道の基本的な作法は、今の時代、茶道の本やインターネットで見ることができますが、作法の一つ一つの意味を学ぶには茶道教室に通うことをお勧めします。

自然をより身近に感じる方法

茶道は、季節の花を飾り、菓子や道具も季節感を大事にしています。茶室で行うだけでなく、屋外で行う茶会で、野点というのもあります。野点では、自然の中で、お茶を点てて、客に振る舞います。野点では、茶室とは異なる、開放的な空間で、お茶を楽しむことができます。野点では、自然の風や光を感じながら、お茶を味わうことができます。野点は、アウトドアでの茶道です。アウトドアを楽しむことは昔からされていました。

まとめ;茶道を通じた日本文化の学びとは

茶道は、単にお茶を点てて飲むだけでなく、日本の文化や歴史、精神性を学ぶことができる、貴重な文化です。茶道を通して、日本の伝統的な道具や、茶道の作法、茶室の造り、茶道の精神などを学ぶことができます。茶道は、日本の文化を深く理解するための、良い機会と言えるでしょう。

出典:
薄茶のいただき方 | 裏千家ホームページ 茶の湯に出会う、日本に出会う